2024/03/19
実録!数学嫌いの作られ方
数学の授業をしていると、生徒が計算ミスをすることがあります。
この場合私は、「答えが違うよ」とだけ指摘します。すると、当の本人は「あ!そうですね!」なんて言いながら、計算の間違いに気づきます。計算をし直します。
ところが、また間違えます。当然、また指摘します。また解き直します。
2回間違えた生徒は、たいてい3回目も間違えます。1つの問題を何度も何度も解き直すことになります。だから、もう解くのが嫌になります。
立派な数学嫌いの誕生です。
数学の問題を解く上で、「計算なんて繰り返しやればできるようになるじゃん」と思われるでしょう。しかし、いざ教壇に立ってみる(個別指導なので教団には立ちませんが)と、計算はネックになる部分だということがわかります。
何度も間違えるようであれば、その「繰り返しやれば」が難しいわけです。
繰り返しやって身につくのが先か、身につく前に嫌になってしまうのか。ここは正直根比べです。
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ミスの連鎖をしているときに行う「対処」
ところで、こういう状態って教える側の方ならどうするのでしょうか。
とりあえず消して何度もやり直しさせるのか、それとも解答を教えてしまってそうなるように計算して来いと言うのか。
いや、もちろん指導方法に答えなんてないので、先生方がもっともしっくりくる指導法を探すのですが。
(ちなみに私はこういう指導法の議論好きなので、酒の肴に何時間でも話せるタイプです。でも、なかなかこういう人いないんですよね。)
私は、その問題を一度飛ばしてもらって、次の問題に進むよう指示します。計算問題ならその大問を解き終えてから、文章問題なら2問から3問ほど別の問題を解いてもらいます。
そこまで進めたら、また同じ問題に戻ってきて、改めて解き直ししてもらいます。一からしっかり解き直してもらうと、あら不思議。何事もなかったように、計算ミスなく正解して次の問題に進めることが(経験上)多いです。
なんでかな、と私なりに考えてみると。
ミスが連鎖してしまっているときは、頭に血が上ってカッカしているとき。
「なんでこんなに間違えるん」「なんでこんな問題もとけんのん」自分で自分を責めながら解くので、集中力を欠き、雑に計算し、さらにドツボにはまるわけです。そして、さらにカッカとなる。もういやだーなんて。
だから、一度その問題から離れてもらって、冷静になってから、改めて解きなおす習慣をつけてもらいます。ストレスも減るし、計算ミスも減る。そして、点数は増える。
ちなみにこれは、学年が上がると顕著に出ます。小学生低学年では加減乗除の4択しかなかったものが、「かっこつき」「小数・分数」「負の数」「累乗」「文字式」「平方根」「展開」「sin・cos」「階乗」「指数・対数」「微分積分」と、次々と新しい計算を習う中で、落ち着いてはじめから計算し直すっていうのは大事なんです。
自分の身によくある「ミスパターン」を把握しておく
とは言っても、計算を間違えるたびに毎回問題を飛ばして次に進むのは、それはそれでストレスがたまります。解いていない問題がある状態で次へ進むことは、時間的にそこに戻ってこれない恐怖との戦いでもあります。また、テスト中など単純に時間的に難しい場合もあります。
どうすればいいか。それは、飛ばさなくてよいように、自分がミスをする状況のパターンを知っておくこと。
どんなときに、どんな計算ミスをするのか、自分で把握しておくことが、「転ばぬ先の杖」となります。
例えば、分数の通分でミスしやすいとか、連立方程式は代入するときにミスするとか、マイナスをとにかく付け忘れるとか、具体的にすることが重要です。
これのよいところは、計算の見直しのとき、どこを見直せばよいかがわかります。
制限時間のあるテストなど、見直す時間に限りがある場合、これを知っておくだけで効率的にミスを見つけられます。
一般的な「ミスパターン」も知っておく
また、全部やり直しを回避したい場合、1回目の計算ミスが発生したときにどんな対処をすれば「連鎖」しないかも確認しましょう。
一般的に、計算ミスの連鎖が現れやすい状況には、例えば以下のようなものがあります。
・間違えた部分以外の部分まで勢い余って消しちゃう
・間違えた部分に集中しすぎてほかの計算がおそろかになる
・計算の順番がわからなくなってドツボにはまる
・間違えた部分以外の部分まで勢い余って消しちゃう
計算間違いをしたときに、多くの生徒は「間違えた計算だけを消そうとする」行動を起こします。
例えば、4桁どうしのたし算の、十の位だけを間違えたからそこだけを消そうとする。すると、一の位の数も百の位の数も全部消えちゃう。こんなパターンです。
勢い余ってほかの部分まで消した場合の問題は、前にどんな数字が書いてあったかを忘れてしまうので、どういう計算で復元すればいいか忘れます。適当な数字を書いて、また間違えます。
このタイプの生徒には、面倒でもその計算ごと、すべて消してやり直してもらいます。
「あるある!」と少しでも思った人は、悪いことは言わないのでミスした計算をすべて消してやり直しましょう。
・間違えた部分に集中しすぎてほかの計算がおそろかになる
間違えたことを反省しすぎて、その計算ばかりに集中し、それ以降の計算を雑に解いてしまうパターンです。
このタイプの場合、たいていの生徒が、「ところで何を計算していたっけ」と迷子になります。注意力が散漫なのではなく、もっている全精力を間違えたところに使い切り、パワーゼロ状態で他の計算をするので、間違えます。よくある話です。
このタイプの生徒と、
・計算の順番がわからなくなってドツボにはまる
タイプの生徒は、対処法として、その計算の初めから計算し直すことが正解です。
やり直すことを「時間がかかる」と敬遠する人は多いのですが、あれやこれやと細かい修繕をくり返しても、また壊れてしまうので、一度ぶち壊して、新しくやりなおしたほうが早く解き終わります。悩む前に即行動、ですね。
まとめ
計算ミスが多い人に対して、単に「計算ミスに注意しよう」と号令をかけるのは無意味です。だって、計算ミスに注意することはもう頭ではわかってるわけですから。でも、できなくて困っているわけです。
結局は、ミスを犯してしまったら、そのときこそ冷静になること。
深呼吸するだけでもいい。飛ばしてもいい。
焦って頭に血が上った状態で取り組まないことように気をつけてくださいね。
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