2024/03/19
そういえば入試「内容」にあまり言及してこなかった。
過去にも、広島県の公立高校入試についての記事はいくつか書いてきました。受験システムや、今年度の入試の結果と分析など、さまざまな角度から斬ってきたつもりです。
ふと、そういえば「公立高校合格」を目指す皆さんに、一番伝えなければならないことを忘れていました。現在の公立高校入試ってどんなものなの?というところです。
保護者の方世代(つまり私の世代)と比べ、率直に言って、広島県の公立高校入試は難しいです。でも、難しいっていうだけではよくわからないでしょうから、今回は、入試のどのあたりが難しく、どのような対策をとっていけばよいのか。これを記事にします。
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広島県の公立入試の平均点を見て思うことあります?
まずは下の表をご覧ください。
年度 | 国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 合計 |
2011 | 29.0 | 29.1 | 21.2 | 29.4 | 23.7 | 132.4 |
2012 | 30.2 | 29.6 | 22.9 | 25.0 | 23.6 | 131.3 |
2013 | 32.1 | 26.7 | 23.7 | 27.4 | 21.3 | 131.2 |
2014 | 31.5 | 30.8 | 27.3 | 25.3 | 24.4 | 139.3 |
2015 | 28.8 | 25.7 | 30.1 | 23.0 | 26.3 | 133.9 |
2016 | 25.6 | 21.2 | 24.8 | 19.7 | 23.7 | 115.0 |
2017 | 23.9 | 19.3 | 23.0 | 17.1 | 15.9 | 99.2 |
2018 | 23.5 | 18.0 | 22.4 | 19.1 | 24.4 | 107.4 |
2019 | 23.6 | 21.6 | 21.0 | 23.3 | 21.3 | 110.8 |
2020 | 26.5 | 22.0 | 28.2 | 28.6 | 23.9 | 129.2 |
これは、広島の公立高校入試の各教科および合計の平均点を、過去10年分調べて表にしたものです。各教科の満点は50点、5教科は250点満点です。総合点で太字にしてあるのは、平均点が半分に満たなかったことを指しています。
これを見て、皆さんは何を感じ取りますか?
2016年から2019年まで、何があった?と思いませんか?
この4年間は、平均点が半分の得点に到達せず、2018年に至っては、100点にも満たない得点だったという稀にみる平均点の低い時期でした。
今年のテストで半分を超えて、少し変化が見えてきました。それでも、広島県の入試問題は全国的にみて特徴があって、見方によってはとてもユニークで面白い問題が並んでいます。
現在の広島公立高校入試の大きな特徴
では、どのような特徴があるのか、簡単にご紹介します。
表現力を問うものが出題されている。
2015年以前と2016年以降での最大の違いは、この「表現力チェック」です。具体的には、国語の最後の大問が200字前後の作文であることと、英語の最後の大問がしっかりした英作文であることです。
広島県出身の保護者の方は、国語に200字前後の作文があるよとか、英語は最後にしっかり英作文を書かされるよとか言ったら、ひっくり返るかもしれません。
そうなんです。現在の広島県の公立入試最大の変化は、この表現力問題にあるんです。
これは、2015年以前にはほとんど見られませんでした。せいぜい、少し長い字数制限の記述問題があるとか、英作文が少し長めとか、その程度でした。
それが、「この状況であなたならどのように考えるか/どのような発言をするか」というタイプの問題が5年で完全に定着。もはや「広島県入試の代名詞」にまで成長しました(少し大げさかも?)。
とにかく書かせる
これは特に理科と社会のお話。この2教科は、とにかく手を動かして書きなさいと言われます。記号問題がなくなって用語をたくさん書く、とお思いでしょう?違うんです。ひたすら「説明しなさい」なんです。
社会なんて、50点満点のうち35点くらい「説明しなさい」です。理科でも半分くらいは「説明しなさい」。
説明ができない受験生は、得点にならないんです。そりゃ平均点20点割り込むようになるわ…です。
ちなみに、今年の理科の平均点が大幅に高くなったのは、「説明しなさい」問題がここ数年では一番軽く、さらに受験生が対策を万全にやってきた結果だと踏んでします。決して、問題の傾向が変更になったわけではありません。
日常生活との接点を意識した問題が増えた
これは、ここ5年数学で出題されるようになってきたもので、例えば「ドアを開くときの距離」や「ブレーキをかけたときに進む距離」みたいな、日常生活との関連を意識したようなものが出題されたり、「標本調査の意味」のような、数学の本質を突くような問題が出題されたりしています。
よく問題集で載っている、グラフにたくさんの線が描かれていてどのグラフの式を使うかで混乱する、というような「問題のための問題」だけではなくて、数学を身近な例と絡めて問題にする、そういった傾向が強くなってきました。
基礎点を確保して積み上げるイメージで
この「難しい」公立高校入試問題に立ち向かうために、じゃあ今から私はどうすればいいんだ!と思われると思います。
もし、あなたが今、各教科の知識量に不安を覚えている場合、現在効果的であろう対策は
一問一答形式の問題、ひたすらこなしてください。
え?説明しなさい問題とか、書きなさい問題とか出るからそっちの練習した方がいいんじゃないの?一問一答なんて、暗記するもの必要ないんじゃない?
そんな風に思われた方。それも一理ありますが、これを言いたい。
書きなさい問題・説明しなさい問題は、一問一答ができてから初めて、それを土台として作り上げられるものです。
一問一答形式の問題ってバカにできなくて、たとえ理科用語の問題は出題されなくても、理科用語は理科の問題で当たり前に使われるわけです。陰イオンとか、小惑星とか、力学的エネルギーとか。
この用語の意味がわかっていないと、当然その問題は解けませんよね。だって問題の意味が分からないんだから。
そうなったら、もう応用問題どころではない。
それに、一問一答形式の問題もきちんと出題されるんです。例えば数学であれば、25点分くらい。理科や社会は15点分から20点分くらいですかね。
少ないと思うか多いと思うかは自由ですが、平均点が25点前後のテスト、この15点分はめちゃくちゃデカい。
各教科15点の「基礎点」を確実にモノにできる土台を作ってから、応用問題へ進むイメージです。応用問題の勉強に2か月くらい費やすことができるように準備すれば、十分勝負になります。公立最上位校あたりを目指す場合は、もう少し応用問題に力を注ぎたいので、1~2か月早めに完成させられるようにしておきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。公立高校入試の分析は、私のライフワークの一つでもあるので、何か情報を仕入れ次第、どんどん記事にしてアップするつもりですので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
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