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賀茂高校定員増加とその影響

time 2021/09/14

広島県教育委員会は、9月に令和4年度(今年の中学3年生)の公立高校の定員を発表しました。
定員とは、選抜Ⅰ(推薦入試)と選抜Ⅱ(一般入試)の合計合格者数のことで、2割から5割が選抜Ⅰ、残りが選抜Ⅱの定員となります。

全体でみると、令和4年度は安芸高校と呉昭和高校の募集停止と、県内の商業高校の1コース化という2つのトピックとともに、全体の募集定員が増加しているという小さなトピックがあります。
→ 全体の定員はこちらに載っています。

東広島市界隈のトピックとしては、賀茂高校の定員増(40人)ではないでしょうか。

賀茂高校定員増の背景~なぜ賀茂高校は定員が増えたのか

高校は、1クラス40人の計算なので、40人増加するということは、つまり1クラス増ということです。
令和3年度(今年の高校1年生)のクラス数が6なので、来年度のクラス数は7となります。

賀茂高校は昨年定員を1クラス分少なくしたので、この増加によって「高校2年生だけ6クラスになる」という状況が生まれます。

なぜ定員が増えたのでしょうか。
定員が増えた理由として考えられるのは、受験が見込まれる生徒の増加です。つまり、「東広島市の中学3年生が増えた」ということ。というか、それ以外には考えられません。

でも、この少子化の時代に受験する生徒が増えることなんてある?と思いませんか?

というわけで、調べてみました。全部の中学校にアクセスするのは面倒なので、東広島市の統計をもとに考えます。
東広島市の統計は、このページを利用しています。
⇒ https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/shisei/tokeijoho/1/24467.html

2021年の3月末の統計データを利用します。このデータでの「15歳」は2021年4月の高校1年生の学年、「14歳」は中学3年生の学年なので、ここに書いてある数字がすべて高1・中3になると仮定します。
このデータによると、2021年4月に高校1年生の人は1762人、中学3年生の人は1859人。
中学3年生が高校1年生よりも約100人多いことがわかります。

もちろん、この数字が公立中学校に通っているわけではありません。そのまま附属の私立高校に進学する生徒もいれば、受検するにしても私立高校一本の生徒も、東広島市外の高校を受験する組なども存在します。1859人全員が東広島市内の高校受験するわけではありません。

しかしながら、東広島市の公立高校に進学した(もしくはする)生徒が、高校1年生と中学3年生で大幅に変化するとも考えにくいです。昨年の私立高校志望と今年の私立高校志望が、100人も200人も変わることは現実的に考えてありえない。
ということは、東広島市で公立高校を受験する生徒は、昨年度(現高1)と、今年度(現中3)で、約70~90人くらいは増える可能性がある。1校くらい定員を増やしておかないと、急な高倍率になる可能性がある、という判断が県教委(および高校の校長先生)に合ったものと推測されます。

で、定員の調整をするのに、実は賀茂高校がよく使われます。
広島高校は中高一貫のため、単年での定員を増やせない(増やすときは6年かけて計画的に増やす必要がある)。
西条農業や黒瀬の商業科は、職業科なので簡単に定員は増やせない。
その他の高校は、すでに定員割れを起こしている学校が多く、これ以上増やすと倍率がさらに低くなる。
そう考えると、県内の中学生に人気の高い賀茂高校の定員を増やそう、ということになるのだと思います。
(もちろん、私独自の意見のため、そんなことあるかい!と県教委の人に怒られるかもしれません)。

賀茂高校は過去にも定員の上下を繰り返している学校。驚きは少ないかもしれません。

定員が増えることでの心理的影響

定員が増えると、『合格するのが楽になった!』と喜ぶのが世の常です。
単純に、増えた人数分(今回で言えば40人)だけチャンスが広がるわけですから、『より合格に近づいた』と浮かれてしまうのも無理はないでしょう。

でも、先ほど書いたとおり、ごく単純に「ライバルが90人くらい増えている」と考えると、定員が増えたから合格するのが楽になるかどうかは……そんなことはなさそうですね。
定員は40人しか増えないのに、ライバル90人も増えるかもしれない。

さらに、県内の偏差地帯が中間やや上に位置する賀茂高校の場合、定員増による受験生徒の変化が考えられます。

たぶん、皆さんの周りにも、「賀茂高校の定員が増えたらしいから、チャレンジしてみようかな」「志望校下げようかな」という話が、必ずあふれ出てくるでしょう。
生徒自身・保護者ご自身が、そういう気持ちの変化にさらされるかもしれません。
全然悪いことじゃないです。志望校決定方法としてはまっとうなことです。

昨年の募集定員であれば「難易度が高い」と判断して受験を避けていた偏差値帯の生徒が、今年は賀茂高校に志望する可能性。
逆に、昨年なら「どうせ定員が少ないならチャレンジだ!」と受験していなかった偏差値帯の層が、定員増を受けて安全策でラインを下げてくる可能性。

定員は40人しか増えないのに、ライバル120人くらい増えるかもしれませんね。これは大変です。

もともと賀茂高校志望だった人

「賀茂高校がもともと志望だったけれど、定員が増えたから志望校を下げたい」「定員が増えたので、志望校を上げたい」という話は、さすがに聞いたことはありません。
定員増は、もともとの志望をキープさせる一番の要因となります。

ただ、定員増によって、「周りの友だちがみんな賀茂高校に行きたいと言い始めた」となると話は少し変わってきます。先ほどの話ですね。

東広島市の中学3年生が100人増えるのだよ、という話は、生徒にしてもたぶんピンときません。それは、現実とはかけ離れた話だから。顔が見えない人が「賀茂高校に行くんだ」と言ったところで、その人は見たことがないのでイマイチ自分ごとには思えないはずなので。

でも、周りの友だちの志望校がみんな賀茂高校、という話は、かなりインパクトがあります。
わかりやすく、ライバルが増えるのを肌で実感します。

新ライバルには、自分よりも成績が良い子が何人か含まれます。たぶん。
そうなると一気に「大丈夫かな?こんな子がほかの中学校からもガンガン賀茂高校に切り替えてきたら、私は落ちちゃうかも」という不安に襲われることでしょう。ここで、急に顔が見えないライバルの存在がリアルになります。

結局、定員が増えようが減ろうが、受験とは大変なことだ、ということで話はまとまります。

とにかく周りの噂話はシャットアウト

はじめは、「定員が増えたから楽だ!」と思っていたはずの受験が、周りの雰囲気が変わるにつれてプレッシャーになることはよくあります。
ただ、その雰囲気が『実はただの噂だった』ということは多々あります。

この時期になると、「どこかの塾の先生」が発したと言われる謎の情報が流れます(私ではありません)。
今年は、○○中学校のほとんどは賀茂高校志望らしい、とか
今年は、西条農業高校の生活科の人気が高いらしい、とか。
『それどこ情報?』みたいな話はたくさん登場してきます。不安な生徒・保護者は、その真偽不明、出典不明の情報にどうしても踊らされてしまいます。

ちょっと強めに言っておきますが

その情報、99%ウソ情報です。裏付けがあるわけではない、ただの噂です。
裏付けと言ってもせいぜい周りの30~40のサンプルの情報。
広島県の中学3年生は約1万人いますから、1%にも満たないサンプルの情報で、振り回されてはダメです。

この手の情報は、ふたを開けてみると全然違った、なんてことは多々あります。
昨年も、「賀茂高校志望の生徒めちゃくちゃ多いらしい」という情報が11月ごろに回ってきました。結果は……過去に類を見ないほどの低倍率でした。こんなもんです。

信じてしまった方を責めているわけではないです。うわさを流した人が悪いわけでも回した人が悪いわけでもありません。たぶん全員、善意でお話しされています。
(もし、塾の先生で他塾の生徒に不安を与えるためにわざと流していたとしたら……ホントやめてくださいよホント)
善意の方がタチ悪いときもありますから……倍率や受検内容に関することは、ほとんどこれだと思ってください。

志願者数・倍率は、2月に広島県教育委員会が発表するものだけを信じます。
出願するまでは、倍率に関する「情報」はただのデマです。入試が終わるまでは、入試内容に関する「情報」はただの噂です。聞き流して、決して他人には伝えないでください。

来年度以降はどうなるのか

ちなみに、東広島市の来年度以降の児童・生徒の人数は、どのように推移しているかと言うと…

13歳(中2)1978人
12歳(中1)1877人
11歳(小6)1981人
10歳(小5)1920人
……

と、しばらくは1800人を超えています。来年度また100人増えるので、もしかしたら、どこかが定員増になるかもしれません。でもこれはあくまでも私が提唱している「噂」。ここは聞き流してください。
現状の人口動態統計で、次に1700人台になるのは、現4歳の代。約10年後。
何か大きな出来事がなければ、しばらくは定員が減ることなく今の体制が続いていくだろうと推測しています。

あ、でも。

再来年度、現中2から新入試システムに移行します。
ここで、特色ある学校が打ち出せなかった高校は生き残れないかもしれないです。
これが「大きな出来事」なのかもしれないです。

さて、どうなるのか。
答え合わせは……3年後くらいですかね。

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